後遺障害の損害賠償
後遺障害の損害賠償
交通事故で負った怪我の治療を続けても、これ以上、症状の改善が見込まれないという状態になることがあります。後遺障害(後遺症)とは、この「医学上、これ以上の回復が見込めない」と判断された状態のことをいいます。
後遺障害の損害賠償は、医師により症状固定(これ以上、症状の改善が見込まれない)と判断された時点から算出などを行います。
ここでは、後遺障害の損害賠償において発生する主な項目についてご説明いたします。
①逸失利益
逸失利益とは、後遺障害によって仕事をすることができる能力が制限されてしまうことに対する補償のことであり、得られなくなるであろう減収分として請求することができます。
逸失利益の計算においては、①基礎収入、②労働能力喪失率、③労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数(または新ホフマン係数)で算出します。特に、保険会社は労働能力喪失期間において、期間を短くして計算しようという傾向がありますので、注意をすることが必要です。
②後遺障害に対する慰謝料
後遺障害による精神的苦痛に対する慰謝料で、後遺障害の等級などに応じて算出されます。後遺障害に対する慰謝料についても、入院・治療・怪我に対する慰謝料同様に、算出基準が3つあり、保険会社は日弁連基準と比較した場合に低額な基準で、慰謝料の金額を算出することがありますので注意しましょう。
また、後遺障害の等級認定によっては、慰謝料の額が大幅に変わります。適正な等級認定を受けることができるようにするためにも、後遺障害に詳しい弁護士に相談しましょう。
10対0の事故とは?
交通事故には、双方の車両の状況、道路状況、地形・天候など、いろいろな要素があります。
交通事故を解決するためには、これらの要素を踏まえ、当事者双方にどれだけの責任があったのか、ということを判断するための「過失割合」というものを決める必要があります。
皆さんも9対1とか5対5とか、そういった数字を聞いたことがあるかもしれません。
10対0の事故
そんな中、少し特殊なのが、過失割合10対0の事故です。
10対0の事故では、片方の当事者に全く過失がなく(あるいは無視できるほど小さく)、もう片方の当事者の過失によって事故が発生した、ということになります。
具体的には、信号待ちで停車していた車両に後ろから追突した場合や、駐車場で所定の位置に駐車していた車両に、駐車しようとした車両が接触した場合などが挙げられます。
10対0の事故は普通の事故と何が違う?
基本的に、事故で双方に発生した損害は、過失割合に応じて双方が負担することになりますが、10対0の事故であれば、片方の当事者にしか過失が無いので、過失がある当事者が被害額全部を負担することになります。
これに伴い、保険会社の対応が異なる場合があります。
通常、交通事故が発生した場合に、自分の加入している任意保険会社が、自分の代わりに相手方の保険会社と示談の話を進めてくれる場合が多いかと思います。
これは保険会社の通常の任意保険に含まれる「示談代行」というサービスなのですが、このサービスは、自分の側にも過失があることが前提となっています(自分の支払う分と、相手方から受け取る分の両方を交渉している、という建付けです)。
ところが、こちらに過失がない10対0の場合では、こちらから支払う部分がありませんので、示談代行の基礎を欠くことになってしまうのです。
まとめ
本来、10対0の事故では、自分に全く落ち度がないにもかかわらず、自分の契約している保険会社が対応してくれず、悲しい思いをされている方が多いようです。
弁護士は、過失割合の有無にかかわらず、被害者の方の代理人として、相手方保険会社と交渉することができます(弁護士費用特約を利用すれば、費用の負担もありません)。
10対0の事故でお悩みの方は、弁護士にご相談されることをお勧めします。
交通事故のあらゆるお悩みに対応。どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
官澤綜合法律事務所